特殊車両通行許可制度について

公開日:2018年3月25日 / 更新日:2018年8月24日

なぜ特殊車両通行許可をとらないといけないの?

道路というのはもともと一定の規格の車両(設計車両)を想定して、安全かつ円滑に通行できるように設計されています。(道路構造令)

その一定の企画の規格というのが車両制限令で下記のように決められているわけです。

【車両諸元の最高限度の例】

総重量:単車(連結車以外の車両) 20t(高速及び重さ指定道路25t※)

※車両の長さ及び軸距に応じて

車高 3.8m(高さ指定道路4.1m)
車幅 2.5m

○セミトレーラ連結車とフルトレーラ連結車の場合の特例

【総重量】

道路種別

最遠軸距

(ホイールベース)

総重量の制限値

高速道路、重さ指定道路以外 8m以上9m未満 24トン
9m以上10m未満 25.5トン
10m以上 27トン

【長さ】

高速道路ではセミトレーラ連結車にあつては16.5メートル、フルトレーラ連結車にあつては18メートルという特例がありますが、実際高速道路だけ走るということはありませんから結局許可は必要となります。

 

とまぁ、このように決まりがあるわけですね。

これを超えるような車両が道路を通るとなると、重ければそれだけ道路は傷みますし、長かったり幅が広かったりだとぶつかりますし、高ければ高架にひっかかってしまったりします。

それでもその道路を通らなければ目的地に到着できない!

そういうときには道路管理者が通行許可を出すことで通行することができるようになるわけです。

要するに20トン(トレーラはもうちょっと重くまで)を超える車両はどこにいくにしてもたいていは特殊車両通行許可をとらないといけない、ということになります。

 

詳細は国土交通省関東地方整備局で解説しているホームページも参照になると思います。

参考:道路法に基づく車両制限(国土交通省)

 

どんな車が特殊車両通行許可をとらないといけないの

前節でも説明しましたが、基本的には

車両総重量が20トンを超える車両(トレーラーはもうちょっと重いです)

は特殊車両通行許可が必要と思っていただければ結構です。

トレーラーは前節でも解説したように、ホイールベースによって許可が不要な車両総重量が異なりますのでご注意ください。

【新規格車も特殊車両通行許可は必要です】

新規格車はほとんど単車なのですが、簡単に言うと車両の全面に下記のようなワッペン(20t超)が貼ってある車両です。

細かく言うと

総重量の制限 ○最遠軸距 5.5m以上 7.0m未満
総重量   22t (ただし車長9m未満の場合を除く)
○最遠軸距 7.0m以上
総重量   25t (ただし車長11m未満の場合は22t、車長9m未満の場合を除く)
総重量以外の制限 ○幅 2.5m      ○最小回転半径  12.0m
○高さ 3.8m     ○軸重       10t
○長さ 12.0m    ○輪荷重       5t
○隣接軸重 隣接軸距1.8m 未満のもの 18t
(ただし、1.3m ≦軸距かつ軸重≦ 9.5t の場合にあっては、19t)
隣接軸距  1.8m 以上のもの 20t

 

新規格車はなんとなく説明すると、

寸法は問題ないけどちょっと20tより重い車両

という感じですね。

工事現場の近くで大型進入禁止やその他の理由で必要になったとき、よく申請をしますね。

でも新規格車だって基本的には重さ指定道路でなければ特殊車両通行許可が必要です。

一応認識をしておいてください。

特殊車両通行許可の期間

平成21年5月21日の申請分から、1年ではなく2年となりました。

ただし、高さ4.3m、幅3.5m、長さ単車16m、セミトレーラ17m、フルトレーラ19m、ダブルス21mの車両は最大でも6か月。重量については解説割愛します。

期間が長くなった分、取り締まりや規制は厳しくなっています。

とれるところはしっかりとっておきましょう。

参考:国土交通省の特殊車両通行許可期間の改訂についての解説ページ

オンライン申請ってなに?

今はほとんどは国土交通省による特車システムを使用し申請書を作成しています。

申請自体はインターネット上で(オンラインで)行うこともできます。

ケースによってはオンラインでできないケースもあります。

インターネットで用意された画面で誰もが申請書を作成することができますが、パソコンに相当詳しくないと設定するのも大変ですし、車両情報を入力するのも非常に高度な知識が必要です。

自信があれば自社で取り組むのもよいでしょうが、専門に行っている行政書士に投げるのがよいと思います。

投げるかどうかの判断基準(私の勝手な判断基準です)ですが

車両台数(セット)

依頼すべきかどうか

30台以上 自社で専門知識のある人を配備して行うのもよいでしょう。行政書士に依頼するのであれば大量台数であればやはり1台あたりのコストは安くなるでしょうからそれとの兼ね合いでしょう。
10台以下 間違いなく依頼した方がよいです。2年に一度、自社の社員が悪戦苦闘してやるような申請ではありません。本業に集中してください。
10台以上30台以下 とりあえずは自社で挑戦してみるのもいいかもしれませんね。これも行政書士への外注費と自社でやる場合のコストの兼ね合いですね。

私は勝手にこのように思います。

 

参考:国土交通省特車システム

 

罰則(情報古くなってるかもしれません。最新情報はきちんと法令を確認してください)

参考に掲載しておきます。

・特殊車両通行許可についての無許可通行は100万円以下の罰金

・特殊車両通行許可証の備付不備は100万円以下の罰金

・特殊車両通行許可の条件違反は6月以下の懲役又は30万円以下、100万円以下の罰金

その他にも内容によってはコンプライアンス上の問題から、保険会社からの保険が下りない場合もあるかもしれません。

 

本当によくある質問

Q:特殊車両通行許可は申請してから数週間~1,2か月かかると聞きましたが毎日行くところが違います。そんな許可はとらなくてもいいですよね?

A:そういう事情があってもルール上は特殊車両通行の許可は必要です。ですが現実問題としては不可能です。「明日ここに運んで」というニーズにこたえることとコンプライアンスをどのようにバランスをとっていくかは、事業者様だけでなく行政も必死に頭を使っていかないといけないところだと思います。

 

Q:出発地、到着地の細かい道路は経路登録せず、直近の大きな道路までを経路に入れて申請すれば許可も早いし条件もゆるくなるからそれでもいいですよね?

A:それはそれで事実だと思います。ただ、許可証という紙を持つだけが目的なのかどうかはよく考える必要があります。もし枝道のところについて経路登録していない特殊車両通行許可証であれば、それはその枝道については無許可通行となります。行政書士でもそのような安易な申請をする人が多いので注意するようにしてください。(お客様のため、という名目でそのようにしているのかもしれませんが、枝道でなにかあった場合はどうするのか、という疑問がありますね)どのような経路にするのかは行政書士ともよく相談してください。

 

Q:増トンして緩和をとっている車であれば当然特殊車両通行許可もその制限まで認めてくれるんでしょ?

A:それが残念ながらそういうわけにはいかないことが多々あります。緩和を受けて車検証に最大積載量が記載されていても、特殊車両通行許可でその積載量で申請できない場合があります。バラバラの荷物ですと軸重が10トンまでしか認められないですし、途中の経路で軸重10トンまでさげたとしても認められない箇所が1か所でもあればそこまで落とさないといけません。「せっかく緩和とったのに・・・意味ないでしょ」というお気持ちはもっともですが、これが道路関係法令の矛盾の産物です。時間をかけて整合性のあるものにしていかないといけませんね。

 

Q:自社で申請することは可能ですか?

A:理論的にはパソコンとインターネット環境があれば可能です。ただ、高度なパソコンの知識と車両についての知識が必要ですので悪戦苦闘はまぬがれません。元SEの私でもはじめて特殊車両通行許可の申請書を作成したときは、パソコンのセッティングからはじまり1週間くらいはやはりかかりました。

 

行政の解説

公式には関東運輸局が詳しい内容を掲載しているのでそちらも参考にしてください。

関東運輸局ホームページ

【目次抜粋】

道路法に基づく車両制限
(1)道路法に基づく車両の制限とは (2)一般的制限値 (3)セミトレーラ連結車とフルトレーラ連結車の場合 (4)車両の制限に関する法令
特殊な車両とは
(1)特殊な車両とは (2)新規格車 (3)新規格車の特徴
指定道路
(1)重さ指定道路・高さ指定道路とは (2)重さ指定道路・高さ指定道路の状況 (3)指定道路であることを示す標識
通行許可申請
(1)通行許可申請 (2)CDーROMを利用したFD申請 (3)オンライン申請 (4)申請書の作方法 (5)手数料
通行制限等
(1)橋、トンネル等の制限 (2)その他の通行制限 (3)通行認定
申請事務取扱窓口
(1)国の機関 (2)各高速道路会社 (3)都道府県・政令市
通行の許可
(1)通行の許可 (2)通行時の遵守事項 (3)許可書をなくした場合 (4)罰則
参考資料
(1)特殊車両通行関連用語 (2)道路情報便覧 (3)通行許可統計 (4)道路交通情報