整備管理者の仕事(一般貨物自動車運送事業)

整備管理者の仕事(一般貨物自動車運送事業)

整備管理者とは?

堅苦しく言うと道路運送車両法第50条でこのように規定されています。

(整備管理者)
第五十条  自動車の使用者は、自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理させるため、自動車の点検及び整備に関し特に専門的知識を必要とすると認められる車両総重量八トン以上の自動車その他の国土交通省令で定める自動車であつて国土交通省令で定める台数以上のものの使用の本拠ごとに、自動車の点検及び整備に関する実務の経験その他について国土交通省令で定める一定の要件を備える者のうちから、整備管理者を選任しなければならない。

事業用トラックは5台以上の営業所ごとに1名の整備管理者を選任しなければなりません。

整備管理者の選任について詳細はこちら→整備管理者になるには

 

整備管理者の仕事ってなにするの?

1.日常点検の実施方法を定めること
2.日常点検の結果に基づき、運行の可否を決定すること。
3.定期点検を実施すること。
4.日常点検、定期点検のほか、随時必要な点検をすること。
5.日常点検、定期点検の結果、必要な整備をすること。
6.定期点検整備の実施計画を定めること。
7.点検整備記録簿等に関する記録簿を管理すること。
(保存は「使用者」が「当該自動車」にて行う)
8.自動車車庫を管理すること。
9.上記のために運転者、整備員その他の者を指導し、又は監督すること。

 

要するに自動車というのは道路運送車両法にて

「保安基準に適合していなければ運行の用に供してはならない」

とありますので、運転者さんがしっかり日常点検をし、それで車が異常ないことを確認し、異常があったら運行させないようにしなければいけないのです。

そして事業用トラックは3カ月の法定点検がありますから、それがしっかりなされるように計画・実施まで管理しなければなりません。

毎日トラックを使える状態に保つことが整備管理者の最も大切な仕事になるわけですね。

 

整備管理者がしっかり仕事をしないとどうなるの?

道路運送車両法第53条では

「地方運輸局長は、整備管理者がこの法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、大型自動車使用者等に対し、整備管理者の解任を命ずることができる。」

とあります。

行政指導があった場合はしっかりその指導に従わなければ解任命令を受ける場合もあります。

日ごろもしっかり行い、足りない部分を指摘されたら素直に従う姿勢が大切ですね。

 

日常点検なども全部整備管理者がやるの?

日常点検や車両維持、継続検査の義務は依然として使用者にあります。

使用者ということは会社ですので実際に行うのはその従業員である運転者さんですよね。

整備管理者が実施してもよいでしょうが、あくまで管理・責任者というところに重きを置いてください。

 

もし自動車が整備不良となったときはどうするの?

事故が起きなければそれは不幸中の幸いではありますが、やはり下記のようなリスクをしっかり考えて「黄色信号は止まれ」という感覚でいっていただきたいと思います。

 

3カ月点検は会社でやってもいいの?

基本的に法定3カ月点検は自社で行っても構わないというのが通常解釈です。

ただ、分解整備が必要な作業については厳密に言うと認証工場の資格が必要かもしれません。

とにかく法定点検違反の行政処分は大きいですので外注するか自社で実施するかは検討の上、必ず実施してください。

※参考:行政処分

 

違反内容 初回違反 再違反
未実施1回(1年のうち) 警告 5日×違反車両数
未実施2回 5日×違反車両数 15日×違反車両数
未実施3回以上 10日×違反車両数 30日×違反車両数

1年に3回、3カ月点検をしないとして、死亡事故起こして初回でも再違反扱いになったら20両あればそれで600日車(=60点)です。許可取り消し81点まであと一歩になってしまいます。

 

整備管理規程を営業所に備え付けましょう

道路運送車両法第32条第2項にて「整備管理規程」の備え付けを整備管理者に義務付けられています。もちろん、責任が整備管理者にあるというだけで会社としての義務になります。

「整備管理制度の解説」には

「整備管理規程の内容が実 際の業務に即していない 場合には解任命令の発令対象となり得ることを通 知すること」

という厳しい文章があります。

トラック協会で最新版が常に売っていますのでたまに改正がないか等確認してください。

 

整備不良の行政処分

違反内容

初回違反

再違反

累違反

整備不良のもの(当日の日常点検時以降に灯火不 良になったもの等、偶発的・突発的なものを除く。)

10日×違反車両数

30日×違反車両数

60日×違反車両数

不正改造のもの(速度抑制装置又は速度制限(NR) 装置の機能不良を故意に放置したものを含める。)

20日×違反車両数

60日×違反車両数

120日×違反車両数

自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質 の特定地域における総量の削減等に関する特別措置 法不適合車両を使用

20日×違反車両数

60日×違反車両数

120日×違反車両数

死亡事故などになったら初回違反でもいきなり再違反になることがありますから、それでもしNOxPM不適合車両10台といったらそれだけで600日車(=60点)になってしまいます。許可取り消し81点まであと一歩になってしまいます。

過積載の行政処分も怖いですが、整備不良も怖いですね。。

 

便利な情報源

「点検・整備の推進」(自動車総合安全情報)

「自動車の点検及び整備に関する手引」(自動車総合安全情報)

整備管理者制度の解説(国土交通省)

整備管理者選任前研修研修資料(例)(国土交通省)

 

 

 

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