運送事業で見るべき財務諸表の指標(安全性)

決算書は分厚いですが中でもやはり重要なポイントとそうでないポイントがあります。

今回は「企業の安全性」を評価する代表的なところを解説したいと思います。

ぜひ自社の決算書で計算してみてください。

もちろん1期分だけでもものすごくいろいろなことがわかりますが、ぜひ3期分について計算してみて、その年度の資金繰りの楽さ加減と比較してどうなっているかを感じてみてください。

安全性というのは、言葉の通りです。

借入金が大きくないか、簡単に現金化できない固定資産が重荷になっていないか、などをこれで見るわけです。

まずはみなさま、貸借対照表から下記の数字を抜き取って記載してみてください。

純資産  
流動資産  
流動負債  
固定資産  
総資産  

自己資本比率

自己資本比率は下記のように算出されます。

 自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産

さて、御社の自己資本比率はいくつになりましたか?

自己資本比率は大きい方が経営が安定していると言えます。

この数字、、めちゃくちゃ大事です!!

純資産というのは「貸借対照表の構成」ページの図の右下の「純資産の部合計」という緑色のところですね。

そして、純資産というのは右(資産の部)、左(負債の部)どちらも同じ数字である総合計値です。

ようするに、会社のすべての資産のうち、返す必要のない自分のものが多いかということです。

長期借入金で社長個人とかからのものが多い分にはまだよいかもしれませんが、資産のすべてが借金でまかなわれている、ということであればやはりそれを見た人は安心はしないでしょう。

とは言え、あまりに借入金が少ないとそれはそれで「もっと借り入れて有効に利益を生み出した方がいいのではないか?」と思われることもあります。

目標:総資産のうち20%を純資産が占めるくらいになると非常にいいですね。

これをよくするためにはどうしたらいいか、と言うと純資産を増やす(=増資する、繰越利益をどんどんためる) につきます!

当座比率

これは比較的容易に現金化できる資産(当座資産)と比較的短期に返さないといけない流動負債のバランスです。当然、流動負債にあるものはすぐに返せた方がよいですね。

当座比率は下記のように算出されます。

 当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債

さて、御社の当座比率はいくつになりましたか?

 ※当座比率とは現金預金+受取手形+売掛金+流動資産内有価証券のことを言います。

当座比率は大きいほど経営の安定性は高くなります。

理想を言えば、貸倒れになる可能性のある売掛金や不渡りになる手形などではなく、確実な現金と預金でそれがまかなえるといいですよね。

流動比率

これも当座比率と非常に似ていますね。

流動比率は下記のように算出されます。

 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債

さて、御社の流動比率はいくつになりましたか?

これも「貸借対照表の構成」ページでも解説が少しだけありましたね。

1年以内に返さないといけないもの(流動負債)はできるかぎり比較的容易に現金化できる流動資産でまかなえるとよいですよね。

理想を言えば、貸倒れになる可能性のある売掛金や不渡りになる手形などではなく、確実な現金と預金でそれがまかなえるといいですよね。

目標:120~150%以上(流動資産が流動負債より大きい)

銀行もここを重視します。

ということは借入金も金利のことは当然ありますが短期借入金より長期借入金を選択するほうが、その企業は「安定」するということになります。

長期の方が時間を稼げますし、資金繰りを考える時間より経営のことを考える時間を大きくとれるというところは非常に大きいと思います。

固定長期適合率

固定資産は簡単に現金化できませんよね。

売れる、売れないもあるかもしれませんが、すぐ売るようなものは固定資産としては買いません。

固定資産の最たるものはトラックですね。

これに流動負債(短期借入金など)が使われていると現金が厳しくなります。

だってそうですよね、7年~10年使うものについて1年だったり3年で返すような借入金は単純に考えて厳しいですよね。

固定長期適合率は下記のように算出されます。

 固定長期適合率 = 固定資産 ÷ (固定負債 + 純資産)

さて、御社の固定長期適合率はいくつになりましたか?

固定長期適合率は小さいほど経営の安定性は高いということになります。

ということは具体的には、、

固定資産を少なくし(身軽にし)、なるべく負債は長期の負債にし、なんといっても純資産を増やす(=増資する、繰越利益をどんどんためる)

ということが有効になるということですね。

固定比率

これも固定長期適合率と同じような指標です。

固定資産はできるだけ自己資本まかなっているほうがよいですね。

固定比率は下記のように算出されます。

 固定比率 = 固定資産 ÷ 純資産

さて、御社の固定比率はいくつになりましたか?

固定比率は小さい方が経営が安定していると言えます。

あまり現金化できない資産(=借入金の返済、買い替え金の支払いなどに使えないということ)はできるだけ自己資本(純資産)でまかなえたほうがよいですよね。

純資産を増やすためには増資する、繰越利益をどんどんためるということが大事になります。

そして、無駄な固定資産には投資しないことですね。

「持ちビル」というのは魅力はありますが、多大な負債と巨大な固定資産が増えてしまいます。

持ちビルを購入するときは慎重に慎重を重ねてください。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

損益計算書はともかく、貸借対照表をここまで見たことはあるでしょうか。

御社は流動負債と流動資産の割合はいかがでしたか?

流動資産はちゃんと流動負債の100%以上ありましたか?

純資産が赤字だと厳しいですよね。

一番大事な自己資本比率で数字が出てきません。。。

なんといっても債務超過(純資産が赤字)は避けなければなりません。

そのためにはとにかく利益を積み重ねるしかありません。

もちろん粉飾せずにです。

こうやって貸借対照表を強くしていきませんか?

どこをよくすればいいかの目的は見えてきたのではないでしょうか?

この時代に利益を生み出すのは容易ではないことはわかっています。

しかし、会社が利益を出さなければその会社は財務的だけで判断すれば「価値がない」と思われてもしかたがないのです。

それはやはり避けたいですよね。

だから強い気持ちで利益を出さないといけないわけです。

それには1台1台の原価をしっかり考えることしかありません。

目的が見えればあとは強い気持ちで進むだけです。

 

 

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